A 健康と公衆衛生
1 健康とは
①WHO憲章における健康
・WHO=世界保健機関
■身体,肉体的なものを思い浮かべるが,それのみでなく精神的にも,さらには社会的にみても,すべてが良好な状態
・健康が個人にとっても国家にとっても重要なものであり,個人と国家がともに協力していくことが必要ということを示している
②日本国憲法と健康
■すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
■国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなれればならならい
・医師,歯科医師,薬剤師,看護師などの保健医療従事者も,国民の健康を維持・増進することで憲法の理念を実現するための職種として位置づけられている
■救急救命士も同様
2 公衆衛生とは
①公衆衛生
・公衆衛生の向上のためには,各個人の努力をするだけでは足りず,行政,医療関係団体,住民などが,相互に連携し,組織的に地域ぐるみで取り組むことが必要不可欠
②健康に影響する因子
1 高温(低温),放射線,事故に伴う外力などの物理的因子
2 各種化学物質による中毒や環境汚染などの化学的因子
3 病原体,動植物など生物的因子
4 食事,飲酒,喫煙,運動,睡眠など日常生活の状況
5 上下水道の整備や食生活の改善など生活水準,労働環境(職業),地域独特の文化,慣習も含めた社会的因子
6 個人の状態(性別,年齢,遺伝的要因など)
③保健指標
1 市町村,都道府県,国といった一定の集団における健康状態の判断
2 経時的な保健医療政策の成果の評価
3 国際比較や都道府県間,市町村間の比較など
④健康の増進とわが国の目標
・健康増進法
■国民の健康増進のための基本方針を定めたもの
3 公衆衛生に関係する行政組織
①国の機関
・医療供給体制の整備などの医療行政
・感染症や生活習慣病の疾病予防対策などの保健行政
・医薬品や医療機器の安全性や承認許可 ・食品の安全性や水道整備などの生活環境行政
・医療保険・介護保険・年金制度などの社会保障行政 ・労働者の健康保持・増進や適切な職場環境の整備などの労働行政
・大学などでの公衆衛生にかかわる人材の育、教育、研究などの体制を整備し、学校保健としての保育教育および保健管理を所管する
■また、学校教育を通した疾病予防、健康増進にも貢献している
・廃棄物対策
・公害規制
・放射性物質の監視や測定
・環境影響評価
・森林,緑地,河川,湖沼などの自然環境保全
・野生動物保護、地球温暖化対策などの事業
・日本の消防活動を統括する官庁 ・総務省の外局として設置されている
・実働部隊はもたない
・消防行政の企画,立案、各種法令,基準の策定など
②都道府県
・都道府県関係機関
■保健所
■試験研究機関かつ感染症対策の拠点である衛生研究所
■精神保健福祉対策の拠点である精神保健福祉センター
③市町村
・市町村
■住民にもっとも身近な行政単位として,乳児から高齢者まで生涯を通じた健康づくりや保健と福祉の一体的なサービスを実施している
④保健所と市町村保健センター
■設置 地域保健法に基づき都道府県,政令指定都市,中核市,特別区 ※保健所の管轄区域は医療法でいう「二次医療圏」が基本
■保健所に従事している医療従事者 医師,歯科医師,薬剤師,獣医師,保健師,診療放射線技師,臨床検査技師,管理栄養士 ※保健所の所長は医師資格をもつもの!!
■より住民に密着した健康相談
■保健指導
■健康診査
4 国際保健
①国際交流と国際協力
■公衆衛生に関する国際的な関係は,人的交流,知識
■技術の交換を通じて,自国の公衆衛生の向上を図る
■発展途上国に対して,自国の人的,物的,技術的な資源を提供し,相手国の公衆衛生の向上を図る
・国際交流と国際協力は,2カ国間で実施される二国間交流(協力)と,国際機関を通じて行われる多国間交流(協力)とにそれぞれ分けられる
②国際機関
■世界保健機関(WHO)
■国連合同エイズ計画(UNAIDS)
■国連児童基金(UNICEF)
■国際がん研究機関(IARC)など
・日本もこれらの国際機関に人的,経済的,物的,技術的資源を提供し貢献している