A 感染予防策と感染防御
1 感染予防策の変遷
・1980年代に医療従事者のB型肝炎ウイルス感染による、劇症肝炎の死亡が多発
■よって、消防庁の通知によりB型肝炎ワクチンの接種や感染防止などの教育に努めることが示された
・CDC
■米国疾病予防管理センター
・標準予防策
■スタンダードプリコーション
・感染経路別予防策
■トランスミッションベースドプリコーション
2 標準予防策(スタンダードプリコーション)
・標準予防策
①疫学的に根拠があること
②感染症にかかわらず,汗を除く唾液・鼻汁 ・喀痰 ・尿・便・腹 水・胸水などすべての湿性体液には感染性があるものとして取り扱うこと
③空気・飛沫・接触伝播による感染 予防策を含んでいること
④単純で実施しやすいこと
⑤経済的であることに重点を置いて定められている
3 感染経路の種類と代表的な感染症および予防策
・感染経路別予防策,「接触感染予防策」「飛沫感染予防策」「空気感染予防策」からなり,標準予防策と併せて実施する感染予防策
①接触感染
・感染源に接触することで成立する経路
・直接接触感染と間接接触感染がある
・直接接触感染
■観察・処置中に病原微生物に汚染された皮膚や粘膜または体液などに直接触れて感染
・間接接触感染
■病原微生物が付着した手袋や資器材,救急自動車のハンドルやドアノブなどを介して間接的に感染
※医療関連感染の経路でもっとも頻度が高い
②飛沫感染
・咳,くしゃみ,会話などに際して飛び散る飛沫(痰,鼻汁,唾液のしぶき)に含まれる病原微生物が,他人の口や鼻の粘膜,結膜などに触れて成立する経路
・飛沫は毎秒30〜80cmの速さで落下し,感染するのは通常1〜2m以内
飛沫と飛沫核の違い
③空気感染
・飛沫の水分が蒸発し,径5μm以下の軽い粒子となったもの(飛沫核)を吸入して感染