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救急活動時のコミュニケーション P253(無料公開)

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A 接遇とコミュニケーションの種類

1 接遇

接遇
■本来もてなすことや応接すること
■社会人として身に付けておくスキル

言葉遣いや服装,庁舎内における配置図,待合時の椅子,照明などの設備も含まれる

救急活動
傷病者やその関係者だけでなく,搬送先の医療機関や救急隊員間に対してもコミュニケーションスキルが求められる

2 コミュニケーションの種類

・アメリカの心理学者アルバート・メラビアン
■人の第一印象は初めて会ったときの3〜5秒で決まり,またその情報のほとんどが「視覚情報」から得られているという

言語情報
7%

聴覚情報
38%

視覚情報
55%

言語的コミュニケーション
言葉文字の全て
手話
筆記も含む

準言語コミュニケーション38
言葉の強弱長短
抑揚
速さなど変化
会話の間
声のトーン

③非言語コミュニケーション55

顔の表情,顔色,目線,身振り,手振り,身体の姿勢,相手との物理的な距離(対人距離)などコミュニケーションのなかで、「もっとも比率が高い重要なコミュニケーション」の技法


①見だしなみ

・救急隊員自身の身だしなみ非言語コミュニケーション

第一印象にかかわる大きな要素

救急隊員に必要とされる身だしなみ

出典:へるす出版 改訂第10版 救急救命士標準テキスト


②目線と目配り

傷病者を上から見下ろすと威圧的な感じを与える

・傷病者との目線なるべく同じすることが重要


③対人距離

・傷病者と適切な距離感を保つ

近づきすぎる威圧感をあたえる

離れすぎると聴取やコミュニケーションがとりづらくなる

B 対象に応じたコミニュケーション

1 高齢傷病者とのコミュニケーション

65歳以上の高齢者の救急搬送人員は60%近くになり,2020年では70歳台の割合がもっとも多くなる


①高齢者の特徴

特徴 
■聴力低下
■理解力低下
高音域(周波数が高い)での音声が聞き取りにくい

老人性難聴
■言葉の聞き取りが悪くなることや大きい音が響くのが特徴
■理解力低下
■何回も聞き返す
■話の内容がわからないまま相づちをうつ
対応法
低い声ゆっくりとした口調
女性隊員の場合はより、低い声ゆっくりと話しかける

②高齢者傷病者とのコミュニケーションのとり方

以下の実践により救急現場活動が円滑となる


普通の声で話す

・いきなり大きな声で話さず,はじめは普通の声で話しかけ,応答の状態によって傷病者に近づき,耳元で話しかける


ゆっくり話す

ていねいな言葉ゆっくり


名前を呼ぶ
おじいちゃんやおばあちゃんではなく社会的立場を尊重して,わかるときはきちんと名前で呼ぶ


敬語で話す

・高齢傷病者は救急隊員より年長者である。ふさわしい敬語を用いてコミュニケーションをとる

傾聴する
・傷病者の訴えにうなずいたり

・話の流れを止めずに聴きつづける
・相手のことばを繰り返す

共感する

・傷病者の立場に立って、共感し表現する

2 小児傷病者とのコミュニケーション

①小児の特徴

意思の疎通がとりづらい

・できるだけ小児の保護者に同席してもらう
■保育者や教職員でもよい

マスクやヘルメットを威圧感をあたえる
■状況に応じて、最低限の感染防止対策で対応することも必要

人形やおもちゃを活用

・小学生の高学年やそれ以上で意思疎通が図れる場合は、通常のコミュニケーションをとる


②関係者の対応

自身に満ちた態度で接することが必要


③小児への言葉遣い

・相手によっては「幼児語」を用いる


④小児傷病者の観察と処置

同伴者を落ち着かせることが重要

むやみに子供を保護者家族から引き離して観察や処置を行ってはならない

・場合によっては、簡単な処置などは手伝ってもらう


⑤小児傷病者の搬送

・むやみに保護者や家族から引き離すとことなく、スキンシップをとりやすい状態とする

3 家族や関係者とのコミュニケーション

・関係者に対してもできるかぎり名前で呼ぶ

・意識障害がある場合
関係者からの聴取が重要

・関係者などに、謝意を示すことも重要

・直ちに観察や処置が必要な場合でも,保護者や家族・関係者へ説明する

4 医師とのコミュニケーション

伝える内容の優先順位を考え,事故や発症の状況,傷病者情報を簡潔明瞭に伝える必要がある。

・必要な場合
医療専門用語を適切に使用し的確に伝える


①第1報

意識障害傷病者や重症外傷傷病者
■第1報としてMISTとが用いられる

MIST

出典:へるす出版 改訂第10版 救急救命士標準テキスト

必ず覚えなさい。


②第2報

継続観察詳細観察の結果が連絡できる時間があれば第2報を連絡

・第2報
■バイタルサインの変化やその後明らかになった受傷部位などを伝える


③指示、指導、助言の要請

特定行為をする場合
医師の具体的指示が必要

救急救命士の判断が尊重されるため、そのコミュニケーションは「承認」要素が大きい


④医療機関到着後の医師への申し送り

・必要な医療処置の判断材料となる

5 救急隊員や消防隊員とのコミュニケーション

・消防活動時の「命令形」の口調は傷病者や関係者の立場ではなじみのないものであり、
消火活動や救助活動とは異なって、傷病者や関係者の不安をさらに助長させることもある

C 救急活動での説明

1 救急活動での説明と同意

説明と同意(理解)という用語
インフォームドコンセントの和訳)

・救急救命処置を行う場合
救急救命士自身が説明を行うのが望ましい

■しかし、他の救急隊員が行う場合もある

2 意識のない傷病者への対応

・患者に意識がない場合
法律上の代理人から同意を得ることが必要

3 制限行為能力者への対応

制限行為能力者
■単独では完全に有効な法律行為ができない者
■本人が合理的に判断できる場合は、その意思決定を尊重する
■判断できない場合は、家族などのが代理対応する

4 傷病者の意思に反する対応

・事前の書面による指示がある場合
法的に重要な意義がある場合はそれに従うべきである
■そうでない場合は、倫理的な規範に則って行うのが原則
■説明と同意の一連の過程は、救急活動記録票に記載することが重要

5 傷病者への説明と同意(理解)の実際

①傷病者本人への“説明と同意(理解)”の手順

・傷病者本人に対し,実施する処置,意義,内容,およびその効果と合併症などについて説明する

・傷病者本人から同意を得る

・同意を確認した後,処置を実施する


②関係者(代諾者)への説明と同意(理解)の手順

・傷病者本人から同意を得ることが困難な場合
関係者(代諾者)に対し,実施する処置,意義,内容,およびその効果と合併症などについて説明する

関係者(代諾者)から同意(理解)を得る。同意(理解)を確認した後,処置を実施する

D 人生の最終段階にある者への対応

人生の最終段階においては,自らが望む形で最期を迎えたいと考える人々が増えている


・取り組み

地域包括ケアシステムの整備

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)など


自らが望む形で最期を迎えたいと考える人々への適切な対応が,救急救命士にも求められている

1 国民の意識の状況

・厚生労働省による「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」(2018年)では,あらかじめ自分の治療やケアについての希望を書面に記載しておくことについて,国民の66%賛成

2 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

①ACP(人生会議)

・「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」

・人生の最終段階にある者が,死の迎え方など自らが望む医療・ケアについて,前もって考え,医療・ケアチームなどと繰り返し話し合い,共有する取り組み

・愛称
■「人生会議

②人生の最終段階における医療・ケアの在り方

・厚生労働省のガイドライン(要訳)
本人による意思決定を基本としたうえで,人生の最終段階における医療・ケアを進めることがもっとも重要な原則とされている

・本人の意思が確認できない場合
■家族などが本人の意思を推定できる場合
→その推定意思を尊重し,本人にとっての最善の方針をと ることを基本とする

■家族などが本人の意思を推定できない場合
本人にとって何が最善であるかについて,本人に代わる者として家族などと十分に話し合い,本人にとっての最善の方針をとることを基本とする

■家族などがいない場合および家族などが判断を医療・ケアチームに委ねる場合、本人にとっての 最善の方針をとることを基本とする

③DNAR指示

DNAR(do not attempt resuscitation)指示
心肺停止に陥った際に心肺蘇生を試みないという医師の指示
心肺停止時のみに有効
※それ以外の医療やケアには影響を与えるものではないことに留意

患者の自己決定に基づいて出されるもの

・本人が意思表明をできない場合
■患者の最善の利益を考慮したうえでの代理判断も容認される

3 傷病者の意思に沿った心肺蘇生

①心肺蘇生を望まない事例の状況

・本来であれば、傷病者が心肺蘇生を望まない場合は、119番通報しないことが望ましい

・従来は119番通報で出動した場合、医療機関へ搬送する前に心肺蘇生を中止することは法令に違反するとの考えた浸透していたが、現在では、心肺蘇生を中止する対応も法令上容認されることが明らかになっている


②心肺蘇生を望まない事例への対応

・国は統一的な方針を示しておらず,地域消防本部によって異なる
救命のために処置を続け医療機関に搬送することを原則とするところがある一方で,かかりつけ医に連絡をとり,かかりつけ医の指示の下に心肺蘇生を中止するところもある
・近年学会などによるあるべき対応についての提言やプロトコールの提示,消防庁における検討などによって,「単に救命のために処置を続けることだけが適切な対応ではない」という認識が広まってきたことなどがある

③心肺蘇生を中止する場合の留意点

心肺蘇生の実施

・心肺停止を確認したら,心肺蘇生などの希望の有無にかかわらず心肺蘇生を開始し,かかりつけ医などの中止の指示が明確になるまではそれを継続するのが原則


心肺蘇生の中止と死亡判断

・現場での心肺蘇生の中止はあくまでも処置の中止であって、死亡診断意味するものではない

中止後も、医師による死亡診断までは命ある身体として傷病者に対応する


必要事項の記載と事後検証

・医師からの指示の有無など、救急活動記録票などに記録を残す
■また,MC協議会などにおける事後検証の対象とすることが望ましい

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