心肺停止 P477

心肺停止 P477

A 総論

1 定義と概念

心肺停止
心臓の動きと(呼吸)の動きが止まった状態cardiopulmonaryarrest(CPA)に相当

心停止によって脳幹への血流が途絶すると,呼吸中枢の機能が停止して呼吸も停止する
呼吸停止よって肺での酸素化が途絶え冠動脈血の酸素含量は減少して心筋虚血からやがて心停止する。
どちらが先に起こっても、心停止かつ呼吸停止となる

■心肺停止はと同義ではなく,回復の可能性がある病態

突然の心停止
■脳内のATPが枯渇して数秒~十数秒で意識を失う

・救急救命士法では心肺機能停止との用語が用いられている


心臓機能

生存に必要なだけの心拍出量がない状態
総頸動脈の拍動触れないことで判断
心臓の機械的収縮または電気的活動完全に停止しているとは限らない

呼吸機能

生存に必要なだけの換気運動がない状態
・有効な自発呼吸運動の停止と判断
死戦期呼吸呼吸機能停止とみなす
予後には脳への酸素化された血液循環の維持が大きく影響

2 疫学

・2018年中、救急搬送された心肺停止の傷病者数
■12万7718人,「男性が多い」,「80~89歳が最多」,「次いで70~79歳」,合わせて全体の半数を占める
■原因では,心原性が79,400人と多い

市民による目撃がある
心原性
救急隊到着時に心室細動または無脈性心室頻拍
3条件を満たした場合

■1カ月後の生存率は36.2%
■社会復帰率は25.1%
■市民により目撃された心原性心肺停止例のうち,居合わせた市民(バイスタンダー)によって心肺蘇生を受けたのは58.1%

3 ウツタイン様式に基づく記録方法

国際的なガイドラインとして統一された記録方法

院外心停止例を対象
心肺停止(心原性か非心原性か)の分類
目撃有無
バイスタンダー救急隊員による心肺蘇生有無
電気ショック有無などに応じて医療機関収容後の予後などについて記載
・心原性とは,心停止の原因が心疾患と確定診断されたという意味ではなく,心疾患以外の疾患が特定された例を除いたもの
・「目撃がある」とは
居合わせた人が倒れた瞬間を直接目撃した
または倒れた物音を聞いたという意味である