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骨盤外傷 P743(無料公開)

外傷救急医学

A 疫学

・外傷での骨盤外傷(骨折)割合
■約5〜10%

重症多発外傷
■約20%に発生

10〜40歳
交通事故

60歳以上
転倒・転落によるものが多い

・交通事故による負傷者
自動車搭乗者歩行者がほぼ半数ずつ
男性に多い

・骨盤骨折の20%
不安定型

・骨盤外傷による死亡率
10〜30%

・死亡原因のほとんどが出血

死亡者のうち半数近くは病院到着前死亡

B 受傷機転

・軽微な骨盤外傷では高齢者転倒によるものが多い

・ほとんどの重症骨盤外傷
交通事故墜落などの減速機序で発生

・骨盤は強靱な靱帯で支持された頑丈な骨組織であり,その骨折は強力な外力が作用したことを意味する
・骨盤に骨折を生じさせる外力
前後圧迫外力→前後方向の外力によるもの
側方圧迫外力→側方からの外力によるもの
垂直剪断外力→骨盤を垂直方向に剪断する外力によるもの

C 病態

・骨盤内の臓器には,骨盤壁を走行する主要な動脈から多数の血管が集まって血液を供給している

・骨盤内の後腹膜腔には発達した静脈叢がある

・骨盤骨折に伴って,これらの動静脈が損傷すると後腹膜腔,時に腹腔内に大量の出血をきたすことがある
■これが骨盤骨折の最大の問題

・骨盤骨折による出血
■多くは静脈性の出血
動脈性出血ではショック進行が速い

・ショックが速やか進行する
骨盤輪の構造破綻によって骨盤腔の容積が広くなっている場合
■腹膜が損傷して腹腔内へ出血した場合→出血に対するタンポナーデ効果が失われるため

ログロール骨盤動揺性の確認によって骨折した骨盤が動揺すると,止血血栓が破綻して出血が助長される
・骨盤骨折では骨盤内臓器の損傷を合併する
尿道膀胱,腟,直腸など損傷を合併する。これらは機能的予後を大きく左右する

D 主な外傷

骨盤輪
■骨盤は後方の仙骨を中心として左右に腸骨が広がり,前方では左右の恥骨が結合して全体として輪状の構造
骨盤2カ所以上骨折または脱臼が起こると,輪状構造が破綻して骨盤内臓器血管が損傷される可能性が高まる

1 安定型骨盤骨折

腸骨恥骨坐骨単独骨折

・一般に骨盤腔の大量出血をきたすことは少ない

・時に尿道・膀胱外性器の損傷を合併

寛骨臼の骨折
ダッシュボード外傷墜落などで,大腿骨頭が臼蓋に強く押しつけられて発生
■出血性ショックに至ることは少ないが,強大な外力が働いた場合に発生するため,大腿骨骨折のほか,重大な臓器損傷を合併することが多い
■治癒後も股関節の重篤な機能障害を残しやすい

2 不安定型骨盤骨折

・外力が作用した方向によって骨折の形態を呈する
前後圧迫型→部分不安定型骨盤骨折という
側方圧迫型→部分不安定型骨盤骨折という
垂直剪断→骨盤輪横(回旋)方向にも縦(垂直)方向にも不安定最重症損傷形態

テキストにそれぞれの骨折形態のイラストが載ってるよ

E 現場活動

1 観察と評価

①受傷機転

自動車事故の場合
迫や減速機序に基づく臓器損傷を予測

歩行者対自動車の事故
車両が衝突した位置(高さ)傷病者の関係を把握する

墜落の場合
墜落の高さ,着地時の姿勢や着地面の性状などの情報は,救急外来における初療時に重要な情報

②初期評価

もっとも緊急性の高い生理学的異常は出血に伴う循環血液量減少性ショック
・血圧の低下がない場合でも,浅表性呼吸頻脈ショック徴候であると判断する

③観察

・骨盤骨折の解剖学的評価では視診が重要
・骨盤部,外陰部の創傷,打撲痕,皮下血腫・腫脹,表皮剝離,あるいは下肢長の左右差がある場合、骨盤骨折疑う
受傷機転視診骨盤骨折が少しでも疑われる場合
不安定型の骨盤骨折があるものとみなして活動

2 処置

・気道確保,酸素投与,必要に応じて補助換気を行う

高リスク受傷機転
脊椎運動制限を行う

・創傷部からの出血
圧迫止血

・会陰部から出血している場合
■出血部にガーゼを当てがう
■創内にガーゼを挿入しない
骨盤骨折,とくに不安定型骨盤骨折
■骨盤の動揺を最小限にとどめる必要がある
サムスリングⓇT-PODレスポンダーⓇなど専用の器具を用いて骨盤固定を行うこともある。骨盤固定により骨盤の動揺に伴う痛みを軽減できるだけでなく,骨盤内臓器や骨折端からの出血に対する止血効果期待できる
▶とくにショックをきたしている場合、できるだけ早急骨盤固定を行うほうがよい
▶骨盤固定具を装着する場合、傷病者の大腿転子部恥骨結合とほぼ同じ高さ)に装着することが重要である
▶装着位置が高すぎる場合、骨盤の固定力が著しく減弱する
■体位を変える場合、原則としてログロール行わずフラットリフトを用いる

搬送時間の短縮も重要であるが,そのことにこだわるあまりに搬送先医療機関の選定を誤れば防ぎ得た外傷死」を招くことになる

トラウマバイパスを実践する

3 緊急度・重症度の判断

・緊急度高い
呼吸・循環の異常

骨盤骨折を疑えば緊急度・重症度が高くなる

開放創を伴う場合
重症度がさらに高くなる

医療機関での診療

超音波検査,X線検査,CT検査,血管造影検査などの所見から臓器損傷の程度や手術の適応が判断される

・骨盤部の腹腔後腹膜腔の出血に対して
経皮的動脈塞栓術(TAE)によって出血の責任動脈を塞栓したり,骨盤腔にガーゼを詰め込むことによって止血が図られる
創外固定などで骨盤の安定化により止血効果を期待する

・腹部臓器の損傷を合併することも多く,しばしばダメージコントロール手術の対象

・骨盤の動揺性に対しては,骨盤創外固定が行われる

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