A 定義・概念
・胸痛
■胸部不快感,絞扼感など
■胸部不快感,絞扼感など
・狭心痛
■心筋の虚血に伴って自覚される胸痛
■典型的には,胸骨後面の絞扼感として感じられる
■心筋の虚血に伴って自覚される胸痛
■典型的には,胸骨後面の絞扼感として感じられる
B 発症機序
1 体性痛
・局在の明らかな鋭い痛み
・脊髄神経の感覚線維
■皮膚,筋膜,骨膜,壁側胸膜,心膜(漿膜性心膜,線維性心膜)これらが痛みを感知する
2 内臓痛
・自律神経が刺激されて,局在の不明確な漠然とした痛みを生じる
狭心痛
・急性心筋梗塞,狭心症など
・心筋の虚血の結果、産生されたキニンが交感神経の求心性経路を刺激するたみに生じると考えられている
・痛みの性状
■絞扼感,圧迫感,押しつぶされるような感じ,重苦しい感じ,焼けるような感じ
・内蔵をきたす疾患
■大動脈解離,肺血栓塞栓症,胃食道逆流症

内臓痛と体性痛の違いをしっかり覚えるのじゃよ
3 関連痛
関連痛
・病巣のある部位以外の痛み
■病巣からの痛みを伝える神経線維が,関連痛を生じる部位からの求心性線維と連絡した結果,痛みを感じるためと考えられている
・上腹部疾患で胸部に関連痛が生じることがある
■消化性潰瘍,胆石発作,胆嚢炎,膵炎など
■病巣からの痛みを伝える神経線維が,関連痛を生じる部位からの求心性線維と連絡した結果,痛みを感じるためと考えられている
・上腹部疾患で胸部に関連痛が生じることがある
■消化性潰瘍,胆石発作,胆嚢炎,膵炎など
放散痛
・病巣から関連痛の部位に広がるようにして痛むもの
C 原因疾患
胸痛の原因疾患
出典:へるす出版 改訂第10版 救急救命士標準テキスト
1 心疾患
・もっとも重要なのは急性冠症候群(急心筋梗塞,不安定狭心症)
急性心筋梗塞
・胸骨後面に「死の恐怖を感じさせるような激しい胸痛」を急激にきたす
・痛みの部位
■局在に乏しい
■握り拳大以上の大きさに感じる
■指先では示せない
・胸痛の持続時間は20分以上
狭心症
・急性心筋梗塞ほどの激烈な痛みはない
・持続時間は、数分
・持続時間は、数分
・狭心症同等症
■説明のつかない呼吸困難,冷汗,悪心・嘔吐,強い倦怠感,失神などがあるときは,はっきり胸痛の痛みがなくても狭心痛と同じ意味をもつ
急性心膜炎
・胸骨後面の鋭い持続痛
・深呼吸・仰臥・咳嗽で増強
・上半身を前傾した坐位で軽減
・左肩などに放散することがある
・深呼吸・仰臥・咳嗽で増強
・上半身を前傾した坐位で軽減
・左肩などに放散することがある
心筋炎
・感冒症状に引き続いて生じる心不全症状が典型的
・心膜炎を合併すると胸痛をきたす
・心膜炎を合併すると胸痛をきたす
心臓弁膜症の胸痛
・痛みは狭心痛
・大動脈弁狭窄症に多いが大動脈弁逆流症(大動脈弁閉鎖不全症)の一部にもみられる
・大動脈弁狭窄症に多いが大動脈弁逆流症(大動脈弁閉鎖不全症)の一部にもみられる
肥大型心筋症
・30~50%で労作時の狭心痛がみられる