内分泌系 P139(無料公開)

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A 内分泌

1内分泌とは

・細胞や組織が物質を分泌する形態には,外分泌と内分泌がある

・外分泌
■分泌液を産生する腺細胞(外分泌腺)から導管を「経て」消化管腔を含む体外へ物質を分泌すること

・内分泌
■産生した細胞から導管を「経ず」間質から,血液中へ生理的に活性をもつ物質を分泌すること

・ホルモン
■内分泌腺から分泌される物質

・内分泌器官
■内分泌腺が集合し,1つの器官を形成しているもの

・放出されたホルモンは血中を流れ,標的臓器の受容体と結合し各ホルモン固有の効果を発揮する

2 内分泌の役割

①ホルモンとは

・体内で合成・分泌されるものであり,血管内を移行し遠隔の標的細胞の受容体と結合し生理作用を発揮するシグナル分子

・生体の種々の機能を微量で調節する役割をもっている


②ホルモンとフィードバック

・フィードバック機構
■標的臓器から分泌された物質が元のホルモンの分泌を調節する仕組み。これによって生体の恒常性がきめ細かに調節されている
■例えば,卵巣は視床下部と下垂体の間でフィードバック機構をもち,これにより月経周期を維持している

B 内分泌器官


出典:ゴロ−@解剖生理イラスト

1 下垂体前葉

・下垂体
■間脳の視床下部の基底から下垂している器官

■頭蓋骨の下垂体窩にはまっている

■重さは0.5〜0.7g

■発生学的に異なった由来をもつ前葉と後葉に区別される

■前葉ホルモンは次のとおり

出典:ゴロ−@解剖生理イラスト


①成長ホルモン

・身体の成長,脂肪の動員,ブドウ糖消費の抑制を司る


②甲状腺刺激ホルモン

・甲状腺の成長と機能を刺激し,甲状腺ホルモンの生成,分泌を高める


③副腎皮質刺激ホルモン

・副腎皮質の栄養と発育を支配し,副腎皮質ホルモンの分泌を促進


④性腺刺激ホルモン

・卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)の2種類がある

・卵胞刺激ホルモン
■女性では卵胞の成熟
■男性では精子の形成を
・黄体化ホルモン
■女性では排卵
■黄体形成に関与促進
■男性ホルモンの分泌を促進

⑤乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)

・乳汁分泌と妊娠中の乳房発育を促す

2 下垂体後葉

・下垂体後葉
■視床下部の神経核で作られた後葉ホルモンが蓄えられており,必要に応じて分泌されている

■後葉ホルモンとして次のようなものがある

出典:ゴロ−@解剖生理イラスト


①抗利尿ホルモン(ADH)

・体内の水分保持に強い作用を有し,腎尿細管での水の再吸収を促進
・ADHを静脈内投与すると血管平滑筋細胞を収縮させ血圧を上昇させる

・バソプレシンとも呼ばれる

②オキシトシン

・周期的な子宮筋の収縮を起こし分娩に関与するホルモン
・授乳期の乳汁の射出を促進する作用もある

3 甲状腺

甲状腺

・喉頭と気管上部の両側および前面に位置する蝶形の器官
・左右両葉とこれを結ぶ峡部からなる
・重さは15〜20g

出典:ゴロ−@解剖生理イラスト

甲状腺ホルモン

・ヨードを材料にして生成されるホルモン
・血中ではほとんどが結合蛋白と結合して存在
※これらは生理活性を示さない

①分化・成熟への作用

・甲状腺ホルモンは組織・細胞の分化・成熟に作用
・先天性甲状腺機能低下症:骨成熟や肺成熟が抑制される
・また,思春期発来も抑制される

②中枢神経への作用

・脳発達期には,甲状腺ホルモンは神経幹細胞増殖や分化,軸索伸展,ニューロン樹状突起の形成,シナプス形成,ミエリン形成などに関与
・成体でも甲状腺ホルモンは脳機能維持に重要

③身体成長への作用

・成長ホルモンの遺伝子発現を直接促進し,軟骨骨化や臓器成熟も調整している


④代謝への作用

・ほとんどの臓器で細胞の基礎代謝量を上昇させ,酸素消費量を増加させる
・熱産生が増加し細胞内の糖質・蛋白質・脂質の合成と分解が促進される

⑤体温調整作用

・甲状腺ホルモンは産熱作用を発揮している


⑥交感神経活性への作用

・視床下部へ作用し,交感神経系全般の活性を上昇させる
・末梢臓器においてはβアドレナリン受容体の数を増加させ,心拍数を増加させるなどアドレナリン作用を増強させる

⑦骨格筋への作用

・発達期の骨格筋線維型決定に関与し,とくに速筋発達を促進する
・熱産生とエネルギー消費を促進し,興奮刺激が生じた際の筋収縮速度を亢進させる

⑧心血管系への作用

・心筋収縮性が亢進する
・また,βアドレナリン受容体数も増加し,心拍数が増加する

4 副甲状腺

・副甲状腺
■甲状腺の両葉上下極の後面にそれぞれ2対ある,米粒から小豆くらいの大きさ
■上皮小体ともいう

出典:ゴロ−@解剖生理イラスト

・副甲状腺から分泌される副甲状腺(上皮小体)ホルモン
■血中カルシウムの濃度を維持させる作用がある

・骨吸収を促進して骨からカルシウムを血中へ放出し,腎尿細管におけるカルシウムの再吸収を促進し,ビタミンDと協力して腸管でのカルシウム吸収を促進

5 副腎

・左右の腎臓の上に位置する重さ約7g器官

・外周の皮質と内部の髄質からなり,多種のホルモンを産生する

出典:ゴロ−@解剖生理イラスト


①副腎皮質ホルモン

・副腎皮質で分泌されるホルモンを総称してコルチコイド
・これらはステロイドという特有の環状の構造をもちコレステロールから作られている

アルドステロン

・電解質代謝にかかわるミネラルコルチコイド(鉱質コルチコイド)
・腎尿細管に作用しナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進

コルチゾール

・糖質代謝にかかわるグルココルチコイ ド(糖質コルチコイド)
・糖質代謝を調節し,蛋白質,脂質代謝,電解質,免疫系,骨の代謝にも影響を与える
・抗炎症,抗アレルギー作用があり,生体に侵襲が加わったときの抵抗性に重要な役割を果たす

副腎アンドロゲン

・男性ホルモンとして男性生殖器の発育および機能を促進し,男性二次性徴を発現させる作用をもつ物質の総称

・男性生殖器の発育と機能促進


・テストステロン(アンドロゲンの一種)に変換されて作用すると考えられている


②副腎髄質ホルモン

・副腎髄質から分泌される代表的なホルモンは下記のカテコラミンである

アドレナリン

・心機能促進作用と末梢血管収縮の作用を併せもつ
・また血糖値を上昇させる作用も有している

ノルアドレナリン

・末梢血管収縮による血圧上昇作用が強い

6 膵臓

・膵臓
■外分泌として膵液を分泌するだけでなく,血糖調節にかかわるインスリンやグルカゴンを分泌する内分泌器官としても機能している

・膵島(ランゲルハンス島)
■膵組織の中にインスリンを分泌するβ細胞,グルカゴンを分泌するα細胞などが集まって島状の塊

■膵島は膵臓全体に分布するが,とくに尾部に多い


①インスリン

・インスリンは血液中のブドウ糖や脂肪酸を細胞内に取り込ませる作用がある

・血糖値を低下させる


②グルカゴン

・グルカゴンは肝臓のグリコーゲンを分解させて血糖値を上昇させる

7 性腺

①精巣

・1対の精巣は陰囊内にある

・精子形成促進に関わるもの
■脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン
■副腎皮質から分泌される副腎アンドロゲン

・脳下垂体から分泌される黄体化ホルモン
■テストステロンの分泌を促す

・テストステロン
■男性の二次性徴の発現や精子形成に関与


②卵巣

・子宮の付属器として左右1対の母指頭大の卵巣が腹腔内に存在

・卵胞の成熟
■脳下垂体の性腺刺激ホルモンの作用

・黄体の形成
■脳下垂体の黄体化ホルモンの作用


・卵胞から分泌
■女性ホルモンとしてエストロゲン(卵胞ホルモン),プロゲステロン(黄体ホルモン)がある

・エストロゲン
■女性の二次性徴発現に関与

・プロゲステロン
■妊娠継続に関与

8 その他

・近年,脂肪組織からもホルモンが分泌されることが明らかになった