A 検査の種類
1 検体検査
・患者から採取した検体を用いて行う検査
2 生理学的検査
・患者の種々の活動状態を把握する検査
・生理学的検査は患者に直接検査器具を装着することによってデータを収集する
・生体検査と呼ぶこともある
3 画像検査
・表面からみえない部分を画像として表す検査
■単純X線
■各種造影検査
■CT検査
■超音波検査
■MRI
■内視鏡検査
B 緊急検査
・緊急検査
■検査のうち,緊急で行われることの多い検査のこと
・患者の病状を把握しやすいことが緊急検査の条件となる
1 末梢血液検査
・静脈から採取した末梢血について,血球成分の計数や化学物質の定量を行う検査
・自動赤血球測定装置ではヘモグロビン濃度とヘマトクリット値も同時に測定
■ヘモグロビン濃度が正常よりも減少した病態
■成人男性13g/dl未満
■成人女性12g/dl未満
・赤血球に関しては総数のほか,平均赤血球容積,平均赤血球ヘモグロビン量,平均赤血球ヘモグロビン濃度を指標に貧血の原因診断に利用される
・血小板数は出血傾向の評価に用いられる
2 動脈血ガス分析
・血液ガス分析装置を用いた検査で,採取した動脈血を分析装置に注入すると自動的に様々なデータが得られる
・主に、低酸素血症や換気異常,酸塩基平衡の異常を調べるために行われる
・ショック,呼吸不全,腎不全などで異常がもたらされる
■ph→水素イオン指数
■Pa02→動脈血酸素分圧
■基準値→90~100mmhg
■成人の低酸素血症→60mmhg以下と定義
■PaCO2→動脈血二酸化炭素分圧
■基準値→35~45mmhg
※低換気→高値
※過換気→低値
■SaO2→動脈血酸素飽和度
■基準値→97%
■SaO2が90%とのとき,PaO2はおおよそ60mmhg
■HCO3-→炭酸水素イオン
■BE→過剰塩基
3 尿検査
・患者の尿を用いた検査
・尿管結石や膀胱炎などの迅速な判断が可能
・尿ph正常で6前後
■アルカリ尿→尿路感染の可能性がある
■尿糖と尿ケトン体→糖尿病のスクリーニング
■尿潜血→尿路感染症・尿路結石・腫瘍などのスクリーニング
■尿蛋白→腎疾患の可能性を示唆
4 心電図検査
■心筋の微弱な電気活動をさまざまな角度から記録する検査
・主な目的
■不整脈や心筋の異常(心筋梗塞,心筋虚血,心筋肥大など)を検索すること
■通常は12の方向から電気の流れをみる
・モニター心電図
■心電図を連続的にディスプレイ上に表示し,監視するもの
・標準肢誘導
■モニター心電図は通常は心臓を挟む3点に貼付した電極の2つの部分の電位差を記録
5 単純X線
・中の形態的な異常を描出する方法
・骨の撮影のほか,胸部や腹部の状態を知るために用いられる
・放射線被ばくを伴う
6 CT検査
・検出器から得られる身体断層面それぞれの位置のX線吸収値をコンピュータで計算し,そのコントラストを画像化するもの
・現在では少ない被ばく量で検査時間も短く,画像も三次元で構築できて診断の精度が高くなった
■それゆえ,救急部門においては頭部から体幹のすべてをスクリーニングするpan-scanが頻用される
■血流の多い部分が濃く写るため,血管や血流の豊富な組織を鮮明に描出できる
・放射線被ばくを伴う
7 超音波検査(エコー検査)
・超音波検査
■超音波出力端子で体表から生体内を走査し,返ってくる反射波(エコー)により画像を描出するもの
■エコー検査ともいわれる
■心臓→壁や弁の形態が直接確認できる
■腹部→占拠性病変や結石、腫瘍などの診断
■血管→壁や血流の異常をみるのに用いられる
■その他→胎児診断にも用いられる
・単純X線検査やCT検査と異なり,放射線被ばくを伴わないため,患者の負担は比較的少ない
・またベッドサイドで行うことも可能
8 MRI検査
・X線の代わりに磁気を利用して画像を描出
9 血管造影検査
・出血部位の確認や血管の異常を確認
・X線を使用するため,放射線被ばくを伴う
10 内視鏡検査
・体外から器官の中にファイバースコープを挿入して,その内面を観察するもの
11 脳脊髄液検査
・主に脳脊髄炎の診断
・採取した脳脊髄液を用いて,蛋白質や糖の量,細胞の数や形態を検査する
・腰椎穿刺
■腰椎の間に細い針を刺して脳脊髄液を採取する方法