縊頸・絞縊 P778

外傷救急医学

A 縊頸・絞縊とは

縊頸(縊首),および絞頸(絞首)
頸部が締めつけられたことによって致死的になった状態
両者では発生機序と病態が異なる

1 縊頸

・いわゆる首つり

自殺の手段として選ばれることが多い

・自殺の手段としての「首つり(縊死)」は自殺全体の約69%でもっとも多く


定型的縊頸

左右対称側頸部では後上方に上がって耳介後方を通り,身体が完全に宙に浮いて全体重が索状物にかかっている場合


定型的縊頸における索状痕

・索状痕が前頸部を最下部として左右側頸部後上方向斜走する

・頸部の動静脈および椎骨動脈血流が完全に遮断された場合
顔面のうっ血眼瞼結膜の溢血斑を生じることなく短時間で死に至る
頸動脈洞迷走神経などの頸部神経が刺激された場合
うっ血や溢血斑は起こらず高度徐脈著しい血圧低下によって急速に死亡する

非定型的縊

定型的縊頸以外のすべての場合

・頸部の静脈還流だけが阻害されて動脈血流が保たれる場合
うっ血溢血斑生じやすい