体温上昇　P540

体温上昇 540

2022.02.25 2020.12.19

A 定義・概念

・腋窩温で37℃以上を体温上昇とみなす

・正確な体温を知るためには中心部体温の測定が望ましいが，日常生活や病院前では腋窩温や鼓膜温で代用することが多い

・体温上昇
■発熱，高体温が含まれている
■両者は原因，病態，対応に関して異なるため区別が必要

・何らかの原因で体温調節中枢の設定温度が上昇し，身体がそれに応じて積極的に体温を上昇させた結果が発熱である
・発熱は目的をもった身体反応である

・種々の原因で身体に熱が蓄積し，体温調節機能の不足，異常，または停止をきたして体温が上昇した状態

・体温調節の中枢は視床下部

・体温が低下すれば，体温調節中枢の冷感受性ニューロンの活動が亢進

・体温が上昇すれば，体温調節中枢の温感受性ニューロン（温ニューロン）の活動が亢進

・体温の低下に対しては
■体表の血管が収縮して熱の放散を減らし，シバリング（ふるえ）と呼ばれる骨格筋の小刻みな不随意収縮が生じて熱産生を増やす
■シバリングは強力な体温上昇の手段

・体温の上昇に対しては
■体表の血管が拡張して放熱を増やし，必要に応じて分泌される汗が気化熱を奪って体温を下げる
■汗の蒸発さえ確保されれば発汗は強力な体温下降の手段となる
■プロスタグランジンの産生で冷ニューロンが興奮し，体温の設定温度が37℃から上昇する

体温調節のための反応

出典：へるす出版改訂第10版　救急救命士標準テキスト

・体温を下げるための反応として血管拡張と発汗が生じ，体温は元に戻る