A 総論
1 救急医療における意義
・代謝,内分泌・栄養系疾患のなかで,もっとも重要な疾患は,糖尿病
・虚血性心疾患や脳血管障害の危険因子であり,合併症による救急要請も多い
2 代謝・内分泌・栄養系疾患の主要症候
主な内分泌器官とホルモン異常
出典:へるす出版 改訂第10版 救急救命士標準テキスト
・初期
■容貌や体形の変化・精神症候・発汗・頻脈や徐脈
・症候が進行
■意識障害やショック状態
■容貌や体形の変化・精神症候・発汗・頻脈や徐脈
・症候が進行
■意識障害やショック状態
3 基本的対応
①緊急度・重症度の判断
・他の疾患と同様に意識・呼吸・循環などの生理学的徴候で重症度を判断
・低血糖時にブドウ糖を経静脈投与することにより,意識障害が改善する
②応急処置と搬送
・低血糖が疑われる場合
■ディカルコントロール下に血糖測定を行い,適応があれば静脈路確保およびブドウ糖溶液投与を実施
■ディカルコントロール下に血糖測定を行い,適応があれば静脈路確保およびブドウ糖溶液投与を実施
③医療機関選定
・代謝・内分泌・栄養系疾患では,情報収集が医療機関選定の重要な判断材料になることがある
B 糖尿病とその合併症
1 糖尿病
①概念
・血糖値は血中のブドウ糖濃度を意味し,健康人では空腹時は70~110mg/dL程度
・食後は血糖値が一時的に上昇するが,140mg/dLを超えることはほとんどない
・食後は血糖値が一時的に上昇するが,140mg/dLを超えることはほとんどない
・糖質の代謝はさまざまなホルモンや酵素による調節を受けており,血糖は一定の範囲に維持されている
血糖値を上昇さえるホルモン
・グルカゴン,カテコラミン,コルチゾール,成長ホルモン(GH)
血糖値を低下させる作用をもつ唯一のホルモン
・インスリン
■膵臓のβ細胞
■血糖降下作用を発揮
■インスリン標的臓器→肝臓・筋肉・脂肪組織
■血糖値は,インスリン基礎分泌と追加分泌の組み合わせによって巧みにコントロールされている
インスリン抵抗性
・肥満や運動量の低下
・肝臓・筋肉・脂肪組織におけるインスリンの作用不足を誘導
・筋肉と脂肪組織におけるインスリン応答性の糖取り込みが低下し,肝臓では糖放出が亢進
糖尿病
・高血糖を生じる
・長期にわたると動脈硬化,微小血管障害による臓器障害や免疫機能低下を引き起こす疾患
・その結果,網膜症,腎症,神経障害などの特有の合併症を生じるとともに感染症に罹患しやすくなる