A 総論
1 疫学と救急医療における意義
・筋,骨格系疾患は,「救急・救助の現況」では「その他」に分類
・外傷のうち40.2%が靱帯損傷,皮膚・皮下組織損傷,骨折
・内因性疾患59.8%が変形性脊椎症,椎間板ヘルニア,肩関節周囲炎
・部位別では上肢26.2%,下肢33.2%,脊椎・脊髄が31.9%(腰椎のみで18.8%)
2 筋・骨格系疾患の主要症候
①急性腰痛
・重い物を持ち上げようとしたときに腰が突然痛くなった」など,運動をきっかけとして発症
・強い力によるものでなくても,高いところにある物を取ろうとしたとき,くしゃみをしたとき,靴下を履こうとしたときなどにも発症
②関節痛
・急性の筋・骨格系疾患では,1つの関節が痛むのが普通である
・関節の疼痛に伴って可動域制限や腫脹が認められることが多い
・関節内に液体が貯留
■関節部にゴムボールを押すような感触が認められる
■関節部にゴムボールを押すような感触が認められる
・炎症性疾患では関節部の皮膚に発赤が認められる
③筋肉痛
・横紋筋融解症
■障害された筋肉が痛む
■障害された筋肉が痛む
・全身の筋肉痛は,膠原病や感染症が原因となることが多い
④運動麻痺
・脊髄,馬尾,神経根,末梢神経のいずれかが骨や椎間板などで圧迫されて生じることが多い
・筋疾患でも障害筋の分布に応じた筋力低下を認める