脊椎・脊髄外傷 P727

外傷救急医学

A 疫学

脊椎損傷
■外傷全体の約19%

重症の頭部外傷
■約15%

・重症の鈍的顔面外傷 
■約10%

・脊椎損傷のうち
■もっとも多い頸椎損傷全体の半数
■とくに第2頸椎第4〜6頸椎が多い

B 脊椎損傷の受傷機転

脊椎損傷
■もっとも多いのが交通事故。全体の半数弱を占める
■次いで,墜落・転落によるもの
■約5%はスポーツ中の事故

1 過伸展

・頭部に後方への外力が働いた際の頸椎に発生しやすい
■自動車の後方から追突された場合
浅いプールへの飛び込みで前額部を強打した場合
高所から墜落した場合

・頸椎の過伸展により前縦靱帯椎間板の損傷をきたす

・上位の椎骨が下位の椎骨に対して後方に偏位する後方脱臼が起こると,脊髄に対する直接の圧迫や血流障害などによる脊髄損傷をきたす

ハングマン骨折
過伸展による第2頸椎軸椎)の骨折
高齢者の交通事故墜落で発生する
■過伸展の際に軸椎の後方要素が圧迫されて,両側の椎弓根が骨折する
絞首刑など,落下距離の大きな(紐が長い)縊頸によっても発生することがある

2 過屈曲

・自動車が前方から衝突した際などに,シートベルトを装着した状態の搭乗者の頸椎に生じる

・頭部を強く前屈させる外力により
■後縦靱帯,棘間靱帯を損傷
■脊柱の後方にある支持組織の損傷
■椎体の圧迫骨折などをきたす

・脊椎の前方脱臼
■脊髄に対する直接の圧迫や血流障害などによる脊髄損傷をきたす