泌尿・生殖系疾患　P597

泌尿・生殖系疾患 P597

2022.02.25 2021.01.12

A 総論

泌尿系疾患のうち救急疾患として頻度の高いもの

・腎臓機能の低下（急性腎障害，慢性腎臓病）

・尿管・尿道の流路障害（尿管結石，前立腺肥大）

・尿路の感染症（膀胱炎，腎盂腎炎）

・女性
■内性器感染症や腫瘍に起因する病態
・男性
■精巣上体炎
■前立腺炎

・電解質異常，代謝性アシドーシス，尿毒症，重症感染症などは緊急性の高い

①疼痛

・下腹部痛を訴えることが多い

・腎盂腎炎や上部尿管結石
■患側の腰背部痛

・尿管結石で腸管麻痺を合併した場合
◾️腹部膨満感

・排尿痛
■排尿時に発生する下腹部や尿道の痛みないし灼熱感で，膀胱や尿道の炎症，結石，腫瘍，狭窄などが原因

②排尿の異常

頻尿

・排尿の回数が多いこと・膀胱炎や過活動膀胱などでは，膀胱に少量の尿が貯留しただけでも尿意を我慢できない
・起床から就寝までに８回以上の排尿があるとき

乏尿・無尿

・乏尿
■老廃物を十分に排泄できなくなった状態
■１日の尿排泄量が成人で400～500mL未満

・無尿
■１日尿量が50～100mL以下

・原因
■腎前性（腎灌流圧の低下）
■腎性（腎実質の障害）
■腎後性（尿路閉塞）

残尿感

・排尿後にも尿が残る感覚を残尿感

・原因
■膀胱炎，尿道炎，前立腺炎など
■膀胱癌，膀胱結石や，女性では子宮筋腫，子宮癌による膀胱の圧迫でも生じる

③尿閉

・生成された尿が膀胱に溜まっているが，尿道から体外に排泄されない状態を尿閉

・腎機能の問題ではなく，尿の排泄機序・機能の障害で生じる

・原因
■前立腺肥大が多い
■その他に神経因性膀胱，尿道結石など

・下腹部緊満感や下腹部痛を訴え，下腹部に緊満した膀胱を触れる

④尿の性状の異常

血尿

・尿に血液が混入していることを血尿
肉眼的血尿
■肉眼で確認できる
顕微鏡的血尿
■顕微鏡検査で初めて血液の混入が判明する

・血尿と区別すべき状態
赤色尿
■緩下薬や抗結核薬の服用後
ビリルビン尿（濃い褐色の尿）
■急性肝炎，肝機能障害，胆管結石，眼球結膜や皮膚の黄染（黄疸）
ミオグロビン尿
■その他，筋肉の損傷や挫滅に伴う
ヘモグロビン尿
■広範囲熱傷などによる溶血後