A 外傷の患者数
・救急自動車による搬送人員でみると,疾病以外の搬送
■全搬送人員の約27%
・外傷の原因となった事故種別では,一般負傷と交通事故がもっとも多い
■この両者で外傷全体の約90%を占める
■次いで、労働災害と運動競技が多い
・消防防災ヘリコプターによって搬送された傷病者の事故種別構成
■外傷によるものが多い
■外傷によるものが多い
B 外傷による死亡
1 外傷死の疫学
・交通事故による死亡者数は年々減少
・交通事故の24時間以内死亡で65歳以上が含まれる割合は2019年は約55%
・人口当たりの死亡者数を年齢層別
■20歳台がもっとも多く,ついで30歳台,40歳台
2 外傷による死亡の時期
3型に分類
・超早期外傷死
■受傷とほぼ同時に発生する死亡
■原因→脳脱を伴うような重症頭部外傷,心破裂・大動脈断裂,体幹離断など
・防ぐには
一次予防→事故の発生そのものを防止
二次予防→車両などの安全装置を充実させる
※これ以外に有効な手段はない
・早期外傷死
■受傷後数時間以内に発生する死亡
■原因→徐々に進行する腹腔内出血・後腹膜出血や胸部外傷,頭部外傷など
・防ぎ得た外傷死を招くことがある
■とくに腹腔内出血・後腹膜出血では,出血の原因となった臓器損傷が見逃されやすい
・晩期外傷死
■受傷後数週間で発生する死亡
■原因→ショックの遷延,感染に伴う敗血症などによる多臓器不全など
3 予測生存率と「防ぎ得た外傷死」
・予測外死亡
■予測生存率が0.5(50%)以上であるにもかかわらず実際には死亡したもの
・修正予測外死亡
■予測外死亡から,GCS合計点5以下の重症頭部外傷傷病者および80歳以上の高齢者を除いたもの
・防ぎ得た外傷死(PTD)
■これらの診療経過などを検証した結果,適切な対応が行われていれば死亡が避けられた可能性があると判定されたもの
■これらの診療経過などを検証した結果,適切な対応が行われていれば死亡が避けられた可能性があると判定されたもの
・日本における外傷診療のデータ
■日本外傷データバンクに登録されており,毎年,日本外傷データバンクレポートとして公表されている
4 ロードアンドゴーとトラウマバイパス
・早期外傷死や晩期外傷死の発生を減少させるには,医療機関において根本的な治療がいかに迅速になされるかが重要
・とくに外傷に対する初療多職種にわたる多くの関係者が関与するチーム医療の典型
外傷システム
・病院前活動と医療機関での診療を最適化して外傷傷病者の死亡を減少させるシステム
・具体的な戦術
■ロードアンドゴー
外傷に対応する救急隊は,必要不可欠な処置を行いつつも,現場滞在時間を可能なかぎり短縮して迅速に搬送を開始すること
■トラウマバイパス
①適切な外傷診療を行える医療機関が,現実的な時間的・距離的な範囲にある場合には,あえて直近の医療機関を迂回(バイパス)してでも,その医療機関に搬送することなどがあげられる
②ドクターカーやドクターヘリは,外傷の発生現場が適切な医療機関から大きく離れている場合にトラウマバイパスを実現させるための重要な手段
現場活動においても非常に重要よ